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中学校の「制服」と「標準服」、なくなってきた垣根

作者:佚名  来源:asahi.com   更新:2016-10-2 10:41:33  点击:  切换到繁體中文

 

写真・図版


朝日新聞デジタルのアンケート


必要? 不要? などを尋ねた第1回アンケートに計1330の回答がありました。必要だという人と、不要だという人がほぼ同じ数でした。今回は10代のみなさんの声を紹介します。制服のない学校、標準服はあるけれどみんなが私服の学校、「制服」と「標準服」の垣根がなくなってきたことについて報告します。


【アンケート】中学校の制服、どうする?


東京都杉並区の区立中23校中、9校には制服がありません。向陽中は1994年、男子は詰め襟、女子はセーラー服だった制服をなくしました。ルールは「中学生らしい服装」だけ。標準服もなく、行事の際は「正装をしましょう」とだけ呼びかけます。菅野武彦校長によると、「正装」は「襟のあるシャツや長ズボンなど、きちんとして見えれば何でも良い」。正装時は胸に校章とクラス章をつけます。


生徒はふだん、Tシャツや半ズボン、ジーンズなど過ごしやすい服装で通学します。制服のある中学に勤めた経験をもつ菅野校長は「シャツはズボンに入れなさい、など着こなしを注意する機会がむしろ多かった」と言います。


朝日新聞のアンケートでは、制服の良い点として「家庭の経済状況の差が服装に表れにくい」を選ぶ人が多くいました。これについて菅野校長は「最近は安くても良質な服が手に入りやすく、そうした差は感じない。服装によるいじめもない」。私服の良さについて「好みや気候に応じた過ごしやすい服装ができること」と話します。


奈良市立三笠中はいま、来年度から導入する新しい標準服を選んでいます。同校は95年に制服を標準服に改めた上で、自由な服装も認めました。「自分たちのことは自分たちでしっかり考えて決めたい」と生徒が望み、さまざまな決まりを見直していくなかで服装も選択制になったそうです。


毎年、新入生向けの説明会で標準服があることを伝えてきました。でも、「古いデザインで誰も買わなくなった」(乾浩章教頭)といい、今では全員が自由服。卒業式には、柔道の道着など部活のユニホーム姿で臨む生徒もいるそうです。


ただ近年、保護者から「私服だとお金がかかる」「入試で何を着ればいいか困る」といった声が上がり、選択制は残しつつ標準服を新しくすることに。選択制の「1期生」だった狭川博史教諭は「新しい標準服が好評なら、いずれ標準服を着る生徒が大勢を占めるかもしれない。それはそれで生徒や保護者の選択の結果。学校としてどちらか一方を勧めるつもりはありません」と話します。(三島あずさ)


■「制服」につきまとう強制の響き


制服価格について8月20日付朝刊に掲載した記事に対し、「公立中学は制服を定めてはいけないはずだ」「公立小中学校に制服ってありますか? それは『標準服』ではありませんか」という指摘が、複数の読者から寄せられました。


「制服」には強制の響きがつきまとうようです。「制服の着用を定め、着るように指導したことは強制であり、服装の自由を認めた憲法に違反する」として、千葉県内の公立中学校の生徒の保護者が県を訴えた裁判がありました。最高裁は1990年の判決で「制服着用の指導は強制とはいえない」として原告の上告を棄却。「着ない場合の制裁もないから強制ではない」とした二審判決を支持しました。


公立学校で着る服は「標準服」に過ぎず、「制服」ではないとする根拠はあるのか。文部科学省児童生徒課に尋ねました。担当者は「思い当たるものはない。教育委員会や学校ごとの判断」だといいます。


「標準服」という呼び方でも、それ以外の服装に学校が柔軟に対応するとは限らないようです。95年、標準服を導入していた熊本市の公立中学が、私服で登校していた生徒に対し、「学校管理に混乱をきたす」と、教室での授業に参加させずに別室で個人指導を受けさせたケースもありました。


標準服と位置づけながら、取扱店以外では買えないような独自のデザインが増えたのもこのころからです。


いま、「標準服」から「制服」に変える学校もあります。大阪市立西中学校は今年度、デザイン変更に合わせ、位置づけを「標準服」から「制服」にしました。ただ、学校側は「必ず着るよう強制はできない。着なくても学校で学ぶことに支障はない」と説明しています。


それまでの標準服について「機能的ではなく、値段も高い」「安くて高品質の制服を」という保護者の声があったそうです。保護者、生徒、地域住民が話し合い、大手の制服業者3社がコンペで提案した中から、新制服のデザインを決めました。


詰め襟服とセーラー服の胸に、学校独自のエンブレム刺繡(ししゅう)があしらわれているのが特徴です。「定価が抑えられて高品質」と好評だといいます。学校側は「より学校に誇りをもってくれるのではないか」と期待しています。(錦光山雅子、後藤泰良)


■アンケートに寄せられた声


アンケートに寄せられた、制服の要・不要を中心に、10代のみなさんの声を紹介します。


●「制服は公の場でも正装なわけで、法事などで礼服やら平服を買う必要がなくなるのは大きなメリットのはず。ただ、私立はともかく公立の学校で大きくデザインが違うのはどうかと思う」(東京都・男性)


●「確かに、制服は高いと思う。私自身も裕福な家庭ではなかったため、学校からお下がりをもらって着ていた。なんとか制服代を安くしてもらいたい」(岡山県・女性)


●「学生目線で見ると値段が高くてもあった方が公の場で使えるから良いと思う。高くて品質が良いものを選べばお下がりでもきれいに使えるし、出費だって抑えられる」(埼玉県・女性)


●「私服だとファッションや服の種類で仲間はずれになってしまう可能性があるのでその点ではいいかなと思います。ただ成長期の人にとっては制服の買い直しが多くなってしまうかもしれないのでせめて最近発売されているサイズ調整が可能なズボンが欲しいかなと思います」(大阪府・男性)


●「私の中学校では、ジャージー登校が基本だったので制服は堅苦しいというイメージがありました。私は3年生のころは生徒会に所属し、他の人より制服を着る機会は多かったですが、それでも1年間の登校日数の3分の1程度でした。私はジャージー登校を廃止し、制服を着る機会を増やすべきだと思います」(神奈川県・男性)


●「今まで、制服を使っていることに不満を感じたことはほとんどないし、それで個性が失われるということはない。価格が問題なら、公金を使ってもいいのではないか」(石川県・男性)


●「制服はいらないと思う。全員が同じなのはつまらない。自分は制服のスカートが嫌なので、私服の学校に通っています。もっと個性を輝かせるべきだと思う」(神奈川県・女性)


●「制服着たい!」(東京都・女性)


●「値段を均一化すれば良いと思う」(神奈川県・男性)


●「『毎回同じ服着てる』という理由でいじめられている子をみたことがある。それを考えると制服はやっぱり便利だと思う。みんな平等という感じがする。みんなの一体感が生まれると思う」(神奈川県・女性)


●「私の中学校は制服がありませんでした。しかし、3度転校した小学校のうち、東北地方のとある県にある2校目の小学校にだけ制服がありました。しかし、登校するとすぐに体育着に着替えさせられます。『なぜなのか』と担任に問うと『制服が汚れるから』とのこと。当時小2でしたが『それならば汚れても問題のない私服で構わないじゃないか』と思いました」(東京都・男性)


●「家庭の経済状況の差が出にくいについてなんですが、差があると問題があるからみんな同じにする。ではなくて、経済状況に差があっても差別しないように教育するべきなのでは?」(埼玉県・女性)





 

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