街頭でチラシを配る、生活保護基準引き下げ訴訟の原告や支援者たち。保護を受けていない一般の人々の理解を得られるかが大きな課題だ=7月、さいたま市
保護を受けていない貧困層とのバランスを考え、生活保護の受給者に配るお金を減らす――。そんな施策がここ数年続いていますが、貧困層全体の暮らしを押し下げる心配があります。
急に打ち切られた生活保護 「また路上生活か」
生活保護受けず、車上生活2年 「隠れ貧困層」の実態
「保護基準の引き下げは、生存権を保障する憲法に反します」。7月、さいたま市内で生活保護受給者らが通行人に呼びかけた。2013年度から、食費などにあてる「生活扶助」の基準額が引き下げられた。物価下落などが理由で、13~15年度に3段階で計6・5%という大幅減だ。
心の病を患い4年前から保護を受ける30代女性は、7万6千円の扶助が約5千円減った。病気で過食と嘔吐(おうと)をくり返し、食費に3万円かかる月もある。築30年超の木造アパートに一人暮らしだが、真夏も「クーラーは2時間に20分」と決め、風呂は使わず1日おきのシャワーでしのぐ。「お金が尽きることを本気で心配します」。全国27地裁で基準引き下げの取り消しを求める集団訴訟が起こっている。
一方、神奈川県の女性(78)は、生活保護受給者のこうした運動に違和感をもつ。「生活保護の人は社会に甘えているのでは」
もらえる年金は月6万円。1日…