インタビューに答える婦人科医のデニ・ムクウェゲさん=鬼室黎撮影
約20年も紛争状態が続くアフリカのコンゴ民主共和国で、性暴力が際限なく繰り返されている。被害者を治療し、ノーベル平和賞候補に挙がる婦人科医のデニ・ムクウェゲさん(61)が来日して朝日新聞の取材に応じ、解決に向けた協力を呼びかけた。
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ムクウェゲさんは1999年、東部ブカブ近郊にパンジ病院を設立し、被害者への治療や精神的ケアなどを開始。2015年までに約4万8千人を診た。
活動開始時から、子どもの被害も増加した。08年、レイプされて女児を出産した母親が退院後に再び女児と共にレイプされて運び込まれた。ムクウェゲさんは「医療的な措置だけでは問題が解決しない」と考え、外部へのアピールを強化。活動が評価され、国連や欧州で表彰を受けた。
だが事態は改善の兆しを見せない。15年の国連報告書は司法制度の脆弱(ぜいじゃく)さを指摘。警察や政府軍の兵士も性暴力に関与していると非難した。ムクウェゲさんは「被害を警察に訴えても取り合われなかったり、もみ消されたりする」と話す。
昨年、被害者支援の調査をしていた同病院の女性スタッフが何者かから「調査を続けたらお前をレイプする」と脅迫され、3カ月後に実際に被害を受けた。警察に被害と保護を訴えたが動かず、女性はウガンダに亡命した。
暴力がはびこる背景には、同国…