ノーベル文学賞受賞決定を受けて、グランフロント大阪の紀伊国屋書店ではボブ・ディラン関連の書籍を集めたコーナーが設置された=14日午前、大阪市北区、橋本弦撮影
歌手ボブ・ディランさん(75)のノーベル文学賞授賞から一夜明けた14日、CD店にも書店にも「予想外」の授賞に大慌てで作ったコーナーが登場した。
大阪市の紀伊国屋書店グランフロント大阪店は13日の発表直後、楽曲の解説本など十数冊をかき集め、ディランの歌が登場する村上春樹さんの小説「世界の終(おわ)りとハードボイルド・ワンダーランド」も並べた。係長の山本菜緒子さん(31)は発表の動画を見ていたが「ほぼノーマークで名前が聞き取れなかった」。
神戸市のジュンク堂書店三宮駅前店では関連本の在庫は5冊しかなく、準備していた村上春樹さんの大量の本と一緒に「おめでとう」と「次こそ」の意味を込めたコーナーを作った。ディラン関連本は朝一番で発注したが、重版を待つ状態。「おめでたいことですが、本音は村上さんが受賞して欲しかった。ちょっと複雑です」と店長の堀内理さん(36)。
一方、大阪市のタワーレコード難波店ではCDとDVDの在庫でコーナーを作り、数十枚を追加発注した。「今まで聴いたことのない人が聴くきっかけになってほしい」と担当者。仕事前に立ち寄った大阪府岬町の自営業岩田拓馬さん(38)は「誰でも知っている偉人だけど、きちんと聴いたことがなかったので改めて聞いてみたい」と語った。
京都市の老舗音楽店「JEUGIA三条本店」には、午前10時半の開店と同時に注文が相次ぎ、LP盤5枚がすぐ完売した。CDやDVD、本、モデルのギターでコーナーを作った。「ファンの間では独自の世界観がある歌詞は人気だった。やっと正式に評価されてうれしい」と店員の望月達也さん(46)は話した。
タワーレコード渋谷店(東京都渋谷区)で13日夜に設置された「ボブ・ディランコーナー」には、14日の開店直後からCDを買い求める客たちが訪れた。「ノーベル文学賞」ということもあり、自伝などの書籍も並ぶ。台東区の会社員増井孝充さん(48)は、村上春樹さんの受賞を待ち望んでいたハルキストの一人だが、「ボブの曲は忌野清志郎さんの日本語カバーでしか聞いたことがないが、反戦などメッセージを強く訴えたと聞く。改めて、歌詞をじっくり読みたいと思い、仕事前に来ました」と話した。
ジュンク堂書店池袋本店(東京都豊島区)では、芸術書売り場に特設コーナーを設けた。副店長の横山薫さんは「普段在庫が少ない本なので、店内からかき集め、急きょ出版社に発注した」という。