朝井リョウさん(中央)と大学生の竹内詩乃さん(左)、中村浩太さん
就職活動にいそしむ大学生が自らと向き合い、悩む姿を描く映画「何者」(三浦大輔監督)が、15日公開される。平成生まれの作家、朝井リョウの直木賞受賞作が原作で、就活生の本音や虚栄心や焦りを、ツイッターの書き込みを巧みに交えて活写している。就活を終えたばかりの大学4年生、これから就活の大学3年生に映画を見てもらい、朝井と語り合ってもらった。
■「やる気に満ちた就活生」演じた
中村浩太さん(近畿大学4年) 3カ月前の就活が鮮明に浮かびました。自分は明るいキャラなんで光太郎タイプなのでしょうが、拓人のように一歩ひいて周りを見るところも。登場人物それぞれに感情移入できる面がありました。
竹内詩乃さん(甲南女子大学3年) 映画業界を志望して、いまインターンの最中です。私は(自己アピールが過ぎる)理香ちゃんみたいになるんかなと、就活が怖くなりました。朝井さんは就活が得意だったんですか?
朝井 光太郎というキャラクターに「俺って、ただ就活が得意なだけだったんだって」と言わせたんですが、ぼく自身が実感したことなんです。中村さんは就活が上手だったとか。
中村 (複数の会社から内定を得始めて)自分は就活が得意なんだなと薄々感じました。うそではないけれど、“やる気に満ちた就活生”を演じている気がしてつらかったです。
朝井 就活では「全身全霊」が評価されると思いきや、そうではないからね。ぼくは(学生時代に作家としてデビューした後)取材などを通じて、質問に答える「筋トレ」をたくさんしていた。それがアドバンテージになった。実際、就活は筋トレだと思います。
竹内 私は就活以前に「自分が…