国王死去の一報が流れ始めた13日午後7時ごろ、入院先の病院の中庭に集まった人たちは立ち上がり、涙を流した=バンコク、乗京真知撮影
タイのプミポン・アドゥンヤデート国王(88)が13日、バンコクの病院で死去した。タイ王宮が発表した。今年6月で即位70年を迎えたプミポン国王は、現役君主として世界最長の在位記録を持つ国王で、近年は入退院を繰り返していた。王位は長男のワチラロンコン皇太子(64)が継承するとみられる。
プミポン国王は1927年に米国で生まれ、小学校から大学までをスイスで過ごした。兄の急死で46年、18歳でチャクリ朝ラマ9世として即位した。
70年代以降の民主化を求める学生蜂起や度重なるクーデター、共産主義勢力の伸長など、タイの激動期に立ち会い、政治危機では、何度も事態を収拾した。
タイでは近年、タクシン元首相派と反タクシン派の対立が深まり、2014年5月には軍部がクーデターを決行した。「社会の安定の要」である国王の死去で、社会に動揺が広がる可能性がある。(バンコク=大野良祐)