埼玉県の上田清司知事
2020年東京五輪・パラリンピックのボート・カヌー会場について、東京都の小池百合子知事は14日、埼玉県内に計画変更する案を埼玉県の上田清司知事が「十分です」と断ってきたと述べた。一方、上田氏は「(小池氏から)打診を受けたことはない」と否定し、誘致の意向を表明した。宮城県も名乗りをあげており、会場選びは混迷しそうだ。
五輪ボート会場、選手側は埼玉推し 風や波の心配少なく
ボート・カヌー会場は、現行計画では都が東京湾岸に491億円をかけて新設する「海の森水上競技場」。しかし、小池氏が選んだ都の調査チームは「事業費が過大」などとして、長沼ボート場(宮城県登米市)を変更先の有力候補に挙げた。一方、国内の有力選手からは、風や波が少ない彩湖(埼玉県戸田市)を推す声があがっている。
小池氏は同日の記者会見で、彩湖への変更について「上田知事から『(20年五輪で)主要な競技がすでに会場として(県内に)来るので十分だ』と聞いた」と明かした。この発言を受け、上田氏は記者団に対し、「申し入れが全くないのに辞退のしようがない。とんでもない話です」と述べた。小池氏と五輪の話は「していない」という。
その後、上田氏は「大会組織委員会の顧問という立場から誘致を自粛していたが、(小池氏の発言を受けて)考えを変えざるを得ない」とする談話を出し、積極的な誘致に転じる考えを示した。
こうしたやりとりに大会組織委員会は同日夜、「国際競技連盟や国内競技団体に意見を聞いていないのに、小池氏が水面下で他県知事とだけ話し合うのは極めて不透明なやり方だ。混乱した事態を収拾していただきたい」とのコメントを発表し、小池氏への反発を強めている。
小池氏は15日に宮城県の会場を視察する。この日も「『復興五輪』という目的を思い出して頂けるのでは」と述べ、東日本大震災で被災した宮城県で五輪を開催する意義を強調した。
18日には国際オリンピック委員会のトーマス・バッハ会長と都内で会談する予定で、計画見直しについて、「ここ(の会場)が何億円とか細かい話よりは、大会が今後どうあるべきか、東京で何が起こっているか、などについて話したい」と述べた。