iPS細胞から体外培養で卵子を作る流れ
マウスのiPS細胞(人工多能性幹細胞)から体外培養で卵子をつくることに九州大と京都大などの研究チームが成功した。その卵子を体外受精させ、子や孫を得ることもできた。これまでよくわからなかった卵巣内で卵子が育つ過程を培養皿上で詳しく観察できるようになり、不妊の原因解明などにつながると期待される。17日付の英科学誌ネイチャー(電子版)で発表した。
研究チームの林克彦・九州大教授(生殖生物学)らは2012年にiPS細胞から卵子をつくったことを発表している。この時はiPS細胞から卵子や精子の元になる「始原生殖細胞」をつくり、胎児から取り出した将来卵巣に育つ細胞と一緒に培養して、マウスの卵巣に移植していた。
今回はiPS細胞からつくった始原生殖細胞を卵巣に育つ細胞と一緒にした後、体外で培養し続けた。卵子になるまでの約5週間を三つの時期に分けて培養液を使い分けたほか、卵巣内に近い環境を再現して細胞に栄養が行き渡るように、細胞を浸す方法を工夫したり、塊になった細胞を手作業でばらしたりした。
1回の培養で約600個から1千個の卵子ができた。できた卵子を通常の精子と体外受精させて子宮に戻した計1348個の受精卵から、最終的に8匹の子どもが生まれた。通常の体外受精では、約6割の割合で子どもが生まれるといい、それに比べるとかなり低かったが、8匹はいずれも健康で、別のマウスとの間に孫も生まれた。
また、12年の時は、胎児の細…