米セキュアワールド財団ワシントン事務所のビクトリア・サムソン所長
■米民間団体「セキュアワールド財団」ワシントン事務所のビクトリア・サムソン所長
中国が宇宙開発に積極的なのは、国家の威信を高める目的だけではなく、開発によって多様な利益が得られるからだ。国際宇宙ステーション(ISS)が引退すれば、中国の「天宮」が唯一の宇宙ステーションになる可能性がある。中国は、(宇宙開発に乗り出していない)後発国に手をさしのべて、西欧主導だったISSとは異なる宇宙ステーションを建設しようとするだろう。外交上のソフトパワーとして活用する道だ。
ワシントンには、中国の宇宙開発を安全保障上の脅威とみる意見も根強い。実際、米軍の作戦遂行能力は完全に宇宙に依存しており、「アキレス腱(けん)」とも言える。宇宙船の軌道上でのドッキングや運用は、軍事衛星への妨害や攻撃にも応用可能な技術だからだ。
ただ、米国では、中国の脅威を…