上陸作業をする研究者たち=20日午前8時10分、東京都小笠原村、朝日新聞社機から、杉本康弘撮影
2013年から噴火を続けて大きくなった東京・小笠原諸島の西之島に20日朝、東京大学地震研究所などの研究者グループが噴火後初めて上陸した。朝日新聞は同日、上空から調査の様子を取材した。
噴火収まった西之島、誰でも上陸できる? 調査団が出発
西之島の大きさは? 特集ページで
東京都心から南へ約1千キロ。真っ青な海に、茶色と赤褐色の溶岩に覆われた島がくっきりと浮かぶ。火口から噴煙は見えない。岸と火口の間にある台地状の場所には緑色の部分があり、白い海鳥が羽ばたく様子も見えた。午前8時すぎ、研究者らは数百メートル沖に止めた調査船からゴムボートで島に近づき、島の手前からは泳いで上陸した。複数の機材も運び込まれた。
今回の調査は、火山島の成長過程や生物が生まれる様子などを調べるのが狙い。調査団は16日に神奈川・横須賀を海洋研究開発機構の調査研究船(1629トン、全長66メートル)で出発、20日から2日間の予定で島内で噴出した岩石などを採取したり、地震計や空振計の観測装置を設置したりする。また、噴火で失われた生態系がどのように成立するかを調べるため、残された植物などを確認する。
西之島は13年11月、南東で起きた海底噴火で新島が確認。約1カ月後に両島が一つになり、その後も面積を広げた。今年9月の総面積は約2・7平方キロ。13年の噴火前の約12倍に上る。昨年11月以降、噴火や溶岩の流出は確認されず、気象庁は8月中旬、火口から半径1・5キロとしていた警戒範囲を500メートルに縮小し、島の一部への上陸が可能になった。(小川崇)