福岡市南区南大橋1丁目のアパートで保育士の肱岡(ひじおか)綾音さん(28)が刺され意識不明になっている事件で、福岡県警は21日、住所不定で職業不詳の冨士田(ふじた)清治容疑者(47)を殺人未遂や住居侵入などの疑いで逮捕し、発表した。「その通り、間違いありません」と容疑を認めているという。
28歳保育士、刺されて意識不明 殺人未遂で捜査 福岡
県警によると、15日午後7時過ぎ、2階に住む肱岡さんが自室の玄関先でうずくまっているのを近隣住民が見つけた。冨士田容疑者は同日夕方ごろに室内に侵入し、午後7時15分ごろ、部屋の前の通路で肱岡さんを刃物で刺して殺害しようとした疑いがある。21日夕、南署に出頭したという。
現場には凶器とみられる刃物が落ちていたほか、ベランダ側によじ登った跡があり、窓が外側から割られ、室内の玄関近くの鏡が倒れていた。
事件当時、肱岡さんは車で帰宅した直後だったとみられ、室内で冨士田容疑者と鉢合わせした可能性がある。財布や携帯電話は残されていた。県警は肱岡さんの友人らから話を聴き、携帯電話を解析しているが、交友関係をめぐるトラブルは浮上していなかった。ストーカーなどの相談についても、県警は「把握していない」と説明している。
現場は、西鉄天神大牟田線大橋駅の南西約700メートルにある、小型アパートが密集する静かな住宅街。近くに住む女性(65)は「治安の良い安全な地域だと思っていたのに。事件後、この道を通るのが怖くなった」と話した。(緒方雄大、宮谷由枝、稲垣千駿)