過激派組織「イスラム国」(IS)がイラクで最大拠点とする北部モスルの奪還作戦をめぐり、トルコのユルドゥルム首相は23日、トルコ軍がモスル近郊のバシカでISを砲撃したことを明らかにした。イラク北部のクルディスタン地域政府(KRG)の治安部隊ペシュメルガから支援要請を受けたとしている。
同作戦をめぐるトルコの軍事行動は初めてとみられる。イラクはトルコの作戦参加に反対しており、反発を強める可能性がある。一方、イラク治安部隊の統一作戦司令部は24日、声明で「トルコはモスル解放のいかなる作戦にも参加していない」と否定した。
トルコはバシカに軍事基地を持つ。KRGの要請でペシュメルガや地元のスンニ派勢力を軍事訓練するためと説明するが、兵士600~1千人、装甲車両約25台からなる即戦力を持つ部隊を配備しているとされ、今回砲撃したのも同部隊とみられる。
トルコのチャブシュオール外相は22日、「(奪還作戦の)地上戦はイラク陸軍によって行われなければならない」としながらも、「もし必要なら、我々の特殊部隊は地元勢力を支援するために参加できる」と述べていた。ユルドゥルム氏も23日、奪還作戦に参加している米軍主導の有志連合の空軍に「トルコは参加予定だ」と語った。
モスルは、シーア派が多いイラクにおけるスンニ派の中心地で、世界有数の産油地であるイラク北部への玄関口。イラク政府はモスル奪還後、スンニ派のトルコが同地での権益拡大を目指し、同派を使ってイラクを宗派で分断することを警戒しており、奪還作戦にトルコが参加することを拒んでいる。(イスタンブール=春日芳晃)