環境省は、企業や自治体が再生可能エネルギーや建物の省エネ化などへの資金を調達するために発行する債券「グリーンボンド」について日本版の指針を今年度中につくることを決めた。28日に省内に検討会を立ち上げる。温暖化対策の新たなルール「パリ協定」が11月4日に発効するのを受け、債券の発行や投資を後押しするのが狙いだ。
グリーンボンドは、2007年に欧州投資銀行が発行したのが最初の例とされる。発行額は12年の26億ドルから15年は418億ドルに急増した。一方、国内では野村総研や三菱UFJフィナンシャル・グループも発行しているが、海外に比べて規模は小さい。東京都は21日、試みとして約100億円を発行すると発表した。
世界的には、欧米の金融業界が14年に発表した「グリーンボンド原則」がある。調達した資金の使い道や手続きの情報開示のあり方などを示す。指針をもとに、環境によい投資かどうかを認証機関や監査法人が確認している。国内にはそうした指針はないことから、環境省は日本版の指針をまとめることにした。
指針づくりの検討会では、石炭火力発電の扱いが議論になりそうだ。発電効率がよい最新型でも天然ガス火力の約2倍の二酸化炭素(CO2)を排出する。中国では最新型の石炭火力はグリーンボンドの対象にしており、環境NGOが批判している。欧米の金融機関や公的年金基金は石炭火力への投資をやめる動きも出ている。(小堀龍之)