脳卒中後の歩行障害の患者での治験が始まったHAL=筑波大病院提供
装着型ロボット「HAL(ハル)」を脳卒中後の歩行障害のリハビリ治療に活用しようと、全国の7病院で臨床試験(治験)が始まった。HALを使った治療は今春、筋萎縮性側索硬化症(ALS)など神経や筋肉の難病を対象に公的医療保険の適用となったが、患者数が格段に多い脳卒中での承認をめざしている。
今回の治験に参加するのは筑波大病院、茨城県立医療大病院、筑波記念病院、志村大宮病院(いずれも茨城県)、国立病院機構新潟病院、福岡大病院、福岡リハビリテーション病院。脳卒中発症後5カ月以内で、片側に運動まひがある人が対象で、片脚に装着するタイプのHALをつけて5週間治療し、効果を確認する。センサーとモーターで歩行を助け、「歩けた」という感覚を脳にフィードバックすることで機能回復が期待できるという。
鶴嶋英夫・筑波大准教授(脳神経外科)によると、これまでの臨床研究で、通常のリハビリでは十分な効果が得られず屋内でようやく歩ける状態の患者が、屋外の社会活動に復帰できる程度まで回復した場合もあったといい、「2年程度で承認申請までもっていきたい」と話している。
HALを開発・製造するサイバーダイン社(茨城県つくば市)によると、脳卒中のほか、脊髄(せきずい)損傷患者を対象とした治験も計画されている。(吉田晋)