思い出の記念写真に登場したポーズと同じピースサインをして、記念写真に納まる「七人の侍」。中央が大隅良典・東工大栄誉教授=26日午後、京都市北区、佐藤慈子撮影
ノーベル医学生理学賞の受賞が決まった大隅良典・東京工業大栄誉教授(71)は26日、招聘(しょうへい)教授を務める京都産業大(京都市)で、自身の研究について講演した。会には大隅さんと一緒に「七人の侍」として基礎科学への理解を広める活動をしてきた研究者6人も集まり、受賞決定を祝った。
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講演会は京産大の「タンパク質動態研究所」の開設を記念して開かれ、研究者や学生、高校生、市民ら約1200人が参加した。タイトルは「研究における偶然と出会い」。大隅さんは、細胞が自らのたんぱく質などを分解して再利用する「オートファジー」(自食作用)という現象の仕組みを見つけた経緯や、研究の現状を説明した。今後は「オートファジーがどんな条件で誘導されているのかを知りたい」などと語った。
「七人の侍」の6人も大隅さんとのエピソードを披露。田中啓二・東京都医学総合研究所長は「七人の侍の講演会の主な目的はお酒を飲むこと。ついでに講演会」と話すと会場は笑いに包まれた。大隅さんの妻と自身の妻が姉妹という吉田賢右(まさすけ)・京産大シニアリサーチフェローは「大隅さんの研究が評価されたことは一種の共同受賞のようで本当によかった」と喜んだ。
7人でお酒を酌み交わした写真を会場のスクリーンで紹介した永田和宏・京産大タンパク質動態研究所長は「大隅さんは天才やヒーロー、別世界の人ではなく我々と同じ。今日来た若い人は大隅さんにあこがれて帰ってほしい。ああいう人になりたいと思うことが大事」と語りかけた。(南宏美)