空き部屋に旅行者を有料で泊める「民泊」の広がりを受け、国土交通省はマンションの管理規約に民泊の受け入れの可否を明示するよう促すことを決めた。規約の文案をつくり、近く業界団体などに通知する。民泊ではゴミ出しや騒音を巡るトラブルも多いことから、あらかじめ規約で可否を決めておく必要があると判断した。
日本を訪れる外国人観光客が増え、宿泊施設が不足しているため、政府は民泊を国家戦略特区で旅館業法の適用外として認めることにした。今年2月から運用が始まり、東京都大田区と大阪府の大東市など4市で今月11日までに28施設(83部屋)が参加、利用者は297人となっている。政府は31日から民泊で条件としていた「6泊7日以上」を「2泊3日以上」に緩和し、さらに利用を促す。大阪市や北九州市も参入を予定。政府は来年の通常国会に、全国で民泊を認める新法案を提出する方針だ。
だが、多くのマンション管理組合がひな型として使っている国交省作成の「標準管理規約」には民泊に関する記載はない。現在の規約で民泊が可能か、識者らの見解も分かれている。
許可を受けていない違法民泊も横行し、宿泊者の騒音やゴミ捨てのマナーの悪さなどからほかの住民ともめるケースも多かった。
そこで国交省は、部屋を「民泊に使用できる」「できない」の2通りの管理規約の文案を作成。近くマンション管理や不動産の団体、全国の自治体に通知し、規約での可否の明示を求めることにした。国交省はまずは特区内のマンションに管理規約の変更を勧めるほか、特区内のマンションを販売する不動産会社にも、民泊を認める物件か明示することも求めていく方針だ。
国交省幹部は「民泊をやりたい人もやりたくない人も納得して暮らせることが重要」と話している。(峯俊一平)