北海道砂川市で昨年6月、家族4人が死亡、1人が一時重体となった事故の裁判員裁判が28日、札幌地裁(田尻克已裁判長)であり、検察側は、自動車運転死傷処罰法違反(危険運転致死傷)の罪などに問われた建設業谷越隆司(28)と元解体工古味竜一(28)の両被告=ともに北海道上砂川町=にいずれも懲役23年を求刑した。論告で「相手と張り合うために赤信号を無視しており、極めて危険で無謀な運転だ」と指摘した。
予備的訴因の同法違反(過失運転致死傷)の罪などでは谷越被告は懲役10年、古味被告は懲役7年が相当とした。
裁判で谷越被告側は、赤信号に気づかなかった過失が事故原因で、過失運転致死傷罪にとどまると主張。古味被告側は、事故は谷越被告が起こしたもので、危険運転の共謀もしていないなどとして無罪を主張している。判決は11月10日に言い渡される。
起訴状によると、両被告は共謀して昨年6月6日午後10時35分ごろ、砂川市の国道12号で車2台で速度を競い合い、赤信号を無視して時速100キロ超で交差点に進入した。谷越被告の車が北海道歌志内市の新聞販売所従業員永桶(ながおけ)弘一さん(当時44)運転の軽ワゴン車に衝突。車外に投げ出された長男昇太さん(同16)を古味被告が車で約1・5キロ引きずり、永桶さんと妻文恵さん(同44)、長女恵さん(同17)、昇太さんを死なせ、次女光さん(13)に大けがを負わせたなどとされる。(坂東慎一郎)