別店舗でねぎ焼き作りを再開した呉根城さん=28日、上海市内、廖婧雯撮影
中国・上海で、大人気にもかかわらず「許可がない」として営業停止に追い込まれていた葱油餅(ツォンユーピン、ねぎ焼き)の店舗が28日、営業を再開した。伝統の味を守るか、衛生管理を重んじるかで地元メディアの関心を集めたが、店主が別店舗に移ることで決着した。
上海の人気ねぎ焼き屋、営業停止に TV放送があだ?
ねぎ焼きは「阿大(アーター、お兄ちゃん)」の愛称で親しまれる呉根城さん(60)が34年前に作り始めた。露店販売から自宅営業に切り替えた2003年ごろから評判になり、連日3~4時間待ちの行列に。今年7月に英BBCが放送し、人気ぶりは世界中に知れ渡るまでになったが、地元区政府が民家での営業許可がないとして停止を命じていた。
呉さんは当初、「今さら店は移れない」と反発したが、周囲の説得もあり約1キロ離れた別店舗でのねぎ焼き作りを決断。慣れ親しんだ調理器具を持ち込み、営業再開を迎えた。
この日は再開を祝して、1人2個ずつを無料でプレゼント。2時間半並んで大行列の先頭でねぎ焼きを受け取った女性は「外はサクサク、中はモチモチでおいしい」。呉さんは「みなさんの協力で今日を迎えられた。とてもうれしく思う」と笑顔だった。(上海=冨名腰隆)