ドゥテルテ大統領=鈴木暁子撮影
フィリピンのラモス元大統領は10月31日、ドゥテルテ大統領から7月に任命された中国特使を辞任したと明らかにした。現地放送局GMAネットワークが報じた。親米派で知られるラモス氏はかねて、ドゥテルテ氏の相次ぐ暴言や「(米国から)独立した外交政策」との方針を批判しており、年長者である自分の意見に耳を傾けるべきだとの考えを示したという。
GMAの報道によるとラモス氏は、ドゥテルテ氏が10月の中国訪問を終えた時点で「辞任した。(中国との間の)氷を溶かし、善意と友情の絆を結ぶ役目は果たした」と述べ、特使の任務は別の人に引き継がれたとの考えを示した。
そのうえで「現大統領を含むすべての人は、国に長年尽くした私をフィリピンという大家族の年長の兄と思いなさい」と話し、自らの助言に耳を貸すようドゥテルテ氏にメッセージを送った。
ラモス氏は、ドゥテルテ氏に大統領選に立候補するよう説得した1人とされるが、大統領就任後はその言動や政策をたびたび批判してきた。就任100日の節目には「大変、失望している」とコメント。米国から独立した独自の外交政策の方針については「進むべき方向ではない」との意見を出していた。
一方、アンダナール広報担当相は31日、報道陣に対し、「ラモス氏の辞任は聞いていない。今ほど、その才能や知識が必要な時はない」と話した。(ハノイ=鈴木暁子)