英国の中央銀行であるイングランド銀行(BOE)のカーニー総裁は31日、総裁の退任時期を1年間先送りし、2019年6月末まで務める意向を明らかにした。欧州連合(EU)離脱決定を受け、離脱を円滑に進めるのがねらい。
特集:イギリス、EU離脱へ
英政府は、離脱交渉の前提となるEU側への離脱通知を来年3月末までに行う予定。交渉期間は原則2年間。順調に進めば19年3月末までに離脱することになり、カーニー氏が交渉の間は金融政策のかじ取りを担い続けることになる。カーニー氏はハモンド英財務相への書簡で「EUとの新しい関係に円滑に移行することに貢献する」とし、ハモンド氏も延長を承認した。
カナダ出身のカーニー氏は13年7月、BOE初の外国人総裁として就任。総裁任期は8年だが、家族の事情などを理由に5年後の18年6月末に退任する意向を示し、残りの3年間を務めるかは今年末までに決めるとしていた。
カーニー氏はEU離脱決定の前に、離脱による英経済への悪影響を警告。このため、離脱支持派から早期辞任を求める声も上がり、去就が注目されていた。(ロンドン=寺西和男)