埼玉県朝霞市で少女(15)を誘拐し、2年余り監禁したなどとして、未成年者誘拐や監禁致傷などの罪に問われた大学生、寺内樺風(かぶ)被告(24)=東京都中野区東中野=の公判が2日、さいたま地裁(松原里美裁判長)であった。少女の母親が検察側の証人として出廷し「娘の2年間をむちゃくちゃにした」と訴えた。
母親は「(少女が)社会復帰できる日が本当に来るのか、家族以外の人を信用できるようになるのか」と不安を述べ「なぜ娘だったのか」と声を詰まらせた。寺内被告に対しては「あなたと過ごす2年間じゃなかった。二度と娘の前に現れないでください」と話し「できる限りの厳罰に」と求めた。
母親によると、少女は現在、中学での学習内容を自宅で学んでいる。中学の卒業アルバムに同級生の2、3年生時の写真が載るなか、自身は1年生の時の写真なのを見て悲しがっていたという。監禁されていた「千葉」や「中野」といった単語には拒否反応を示すという。
起訴状などによると、寺内被告は2014年3月、少女を車に乗せて誘拐。約2年間にわたって、千葉市や東京都中野区の自宅アパートで監禁し、少女に重度の心的外傷後ストレス障害(PTSD)を負わせたとされる。初公判で寺内被告は誘拐などについては認めたものの、監禁致傷については「2年間にわたって監視していた意識はない」と述べた。(小笠原一樹)