優勝報告会で、引き揚げる前にマウンドの近くで涙を流す広島の黒田=5日午後1時20分、広島市のマツダスタジアム、上田幸一撮影
(5日、広島の優勝報告会)
黒田「世界一のファン前でユニホーム脱げる」一問一答
【特集】ありがとう広島カープ
マツダスタジアムで、黒田だけの時間が流れた。
本拠に満員となる3万810人が集まった広島の優勝報告会。今季限りで引退した41歳の右腕はファンにあいさつし、観客席にプレゼントするボールを投げ入れた。「もう肩が痛かろうが、関係ない。できるだけ目いっぱい腕を振って遠くに投げようかな、と」
チームメートからは永久欠番となった背番号「15」と同じ回数を胴上げされた。「優勝の日の胴上げをずっと持っておきたかったので、『しないでくれ』と言っていたんですけど。感謝します」。選手やコーチ一人一人と握手をかわした。同僚は次々とグラウンドから去った。
そして、残った黒田は1人、マウンドに向かった。
手前でひざまずき、目頭を押さえた。「最後の最後まで、野球の神様はいると思ってやってきた。20年間のお礼です」。その間35秒。脳裏に浮かんだのは、過去の苦しい試合だった。
ベンチ裏に引き揚げても、1分…