英雄墓地への埋葬が認められたマルコス元大統領の遺体。現在は故郷の町で、一般に公開されている(許可を得て撮影)=フィリピン北イロコス州バタック市、鈴木暁子撮影
フィリピン最高裁は8日、独裁を敷いたマルコス元大統領(1917~89)の遺体を国立英雄墓地に埋葬する政府方針の差し止めを求めた市民らの訴えを棄却し、「埋葬してよい」とする判断を出した。
マルコス氏遺体「英雄墓地へ」 比大統領発言、狙いは?
埋葬はドゥテルテ大統領が提案していた。最高裁報道官は棄却の理由を「(ドゥテルテ)大統領に裁量権の乱用はなかった。埋葬を妨げる法律もない」「マルコス氏は元兵士で、不道徳な犯罪行為もなく欠格条項は見当たらない」と説明。判事9人が賛成、5人が反対、1人が棄権した。
65年に大統領に就いたマルコス氏は72年に戒厳令を出して独裁を敷いたが、86年の民衆らによる抗議運動「ピープルパワー革命」で失脚。亡命先のハワイで89年に死亡した。遺体は保存処理され、北イロコス州の博物館で公開されている。遺族らは英雄墓地への埋葬を希望してきたが、戒厳令時代に多くの学生らが人権侵害を受けたとされ、反対意見が強く実現していなかった。
最高裁前には、賛成、反対両派…