赤十字国際委員会(ICRC)のペーター・マウラー総裁=東京都内、高野裕介撮影
赤十字国際委員会(ICRC)のペーター・マウラー総裁が8日、東京都内で朝日新聞記者と会見した。政府軍と反政府勢力の対立が続く南スーダンについて、「(昨年8月の)和平合意は安定した状況を作り出すには十分ではなく、周辺国を含めた政治的なプロセスが必要だ」と述べた。
南スーダンは、ICRCがシリアに次いで大規模な活動を展開している。マウラー氏は、和平合意は維持されているか、との問いには、答える立場にないとしたうえで「暴力が繰り返されるのを見ており、非常にもろい状況だ」と指摘。長期間に及ぶ活動が必要になる可能性を懸念した。
首都ジュバには国連平和維持活動(PKO)で陸上自衛隊が派遣されており、日本政府は次期派遣部隊に安全保障関連法に基づく新任務「駆けつけ警護」などを付与する方針だ。マウラー氏はジュバの治安について、「答えるのが難しい。状況は日々変わり、不安定だ」とした。
マウラー氏は、過激派組織「イスラム国」(IS)からの奪還作戦が続くイラク第2の都市モスルでの活動状況も説明。ICRCのスタッフが近くで待機するなどし、避難してきた住民ら30万人以上に、状況が整い次第、支援する準備ができているとした。(高野裕介)