ガルーチ元国務次官補
米クリントン政権下の1994年に「米朝枠組み合意」を導いたガルーチ元国務次官補が8日、ワシントン市内で講演し、北朝鮮が米国や日韓などに攻撃してくると判断すれば、「北朝鮮に対して先制攻撃すべきだ」と述べた。北朝鮮による頻繁な核実験や米領グアムに届く弾道ミサイルの発射に危機感を示した発言とみられる。
ガルーチ氏は、先制攻撃は国際法で認められており、「東京やソウル、サンフランシスコが破壊されるのを待つ必要はない」と強調。その上で、来年1月に発足する米次期政権に対し、まず北朝鮮への強力な制裁で圧力をかけた後、非核化に向けた協議を探るべきだと提案した。
また、北朝鮮は核弾頭を搭載したミサイルで米本土を脅かせば、軍事的に優位に立てると信じていると指摘。しかし、米軍の圧倒的優位は変わらず、「北朝鮮の安全が決定的に揺らぐことになる」との見方を示した。
ガルーチ氏は94年、北朝鮮が核開発を凍結する代わりに軽水炉の供与を受ける米朝枠組み合意で米首席代表を務めた。今年10月には、デトラニ元6者協議担当大使らとクアラルンプールで北朝鮮の韓成烈(ハンソンリョル)外務次官らと接触した「対話重視派」とされる。(ワシントン=峯村健司)