検索サイトの「グーグル」で自分の名前を検索すると約5年前の逮捕歴がわかってしまうことから、検索結果の削除を求めた男性の申し立てに対し、横浜地裁川崎支部が削除を命じる仮処分決定を出していたことがわかった。男性の代理人弁護士が明らかにした。始関正光裁判長は「無名の一市民の逮捕歴は公共の関心事ではなく、公表することに社会的意義はない」などとしてグーグル社の異議申し立てを退けたという。
代理人によると、男性は2011年に迷惑防止条例違反容疑で逮捕された。グーグルで名前を検索すると当時の報道記事が表示されるため仕事も見つからず、「人格権の侵害」と訴えていた。
同支部は今年6月、グーグル社に検索結果の削除を命じる仮処分決定を出したが、同社が異議を申し立て、同支部は10月31日付で、改めて仮処分決定を認可したという。
グーグルの検索結果に表示される個人の逮捕歴の削除を求める訴訟や仮処分申請については、裁判所によって判断が分かれている。東京高裁は7月、約5年前に女子高生に金を払ってわいせつな行為をしたとして逮捕された男性の検索結果は、「女子児童をもつ親にとって重大な関心事」と判断。検索結果の削除を命じたさいたま地裁の仮処分決定を取り消している。