通勤する人たちの向こうで埋め戻し作業が続いていた=9日午前8時38分、福岡市博多区、福岡亜純撮影
福岡市博多区のJR博多駅前で8日に起きた大規模な道路陥没事故で、福岡市などは9日午前、復旧作業を本格化させた。原因究明に向け、国土交通省は福岡市交通局に昨夜に引き続き立ち入り検査に入った。
特集:博多駅前陥没
市営地下鉄七隈(ななくま)線の延伸工事により陥没した穴は約30メートル四方、深さ約15メートル。市は8日昼過ぎから業者に依頼し、セメントを混ぜた土を穴に流し込む埋め戻しの作業を24時間態勢で続けた。市によると、穴には壊れた下水管などから流れ込んだ水がたまり、9日夕方までには水面が見えなくなるところまで土を入れられる見込みという。
ライフラインも回復しているが、完全復旧のめどは立っていない。九州電力によると、8日に最大800戸あった付近の停電は9日午前9時過ぎにすべて解消された。一方で、9日午前10時現在、陥没現場近くのビル4棟には引き続き避難勧告が出ている。西部ガスによると、ビル3棟には社員が立ちいれず、復旧工事の見通しが立っていない。下水道管も破損したままで、JR博多駅周辺では下水使用の自粛要請も続いている。
陥没した現場近くの地下鉄工事の現地事務所では9日朝、電気・ガス・水道・電話の各事業者と市の関係者ら約70人が集まり、「ライフライン調整会議」を開いた。市交通局幹部が穴の埋め戻し作業の見通しを説明し、各事業者の復旧工事の工程を調整した。
国交省は9日午前10時から、市交通局に昨夜から2回目となる立ち入り検査に入った。七隈線の工事では2000年と14年にも陥没事故が起きており、工事の進め方が適切だったかなどを調べている。