トランプ次期米大統領が北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉を公約していることについて、カナダのトルドー首相は10日の記者会見で「米国が協議したいのなら喜んで応じる」と話した。「NAFTAも、ほかの貿易協定も、交渉がオープンであることが重要だ。カナダの労働者に恩恵があるかを確認するため、継続的に作業する必要がある」とした。
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カナダのグローブ・アンド・メール紙によると、トルドー氏は9日にトランプ氏と電話会談し、来年1月の就任後のカナダ訪問を提案した。トランプ氏は、就任初日にNAFTAの再交渉と環太平洋経済連携協定(TPP)の離脱を表明すると公約している。NAFTAは米、カナダ、メキシコの3カ国間で1994年に発効した。
ただ、米国の専門家からは再交渉は現実的でないとの声が多い。米通商代表部(USTR)のカトラー前次席代表代行は10日、「NAFTAを再交渉したものがTPPだ。再交渉の目的が関税引き上げならば、成功するとは思えない」と話した。
日本の衆院本会議でTPP承認案が可決されたことについては「日本は指導力を示した」としつつ、トランプ政権下でのTPP対応への影響については「わからない」と話した。(ワシントン=五十嵐大介)