名古屋市中川区で集団暴行を受けたイラン人男性が死亡した事件で、イランで逮捕された主犯格とみられる30代の男には日本からの出国記録がないことが、捜査関係者への取材でわかった。愛知県警は男が他人になりすまして帰国した可能性があるとみている。
昨年12月20日未明、住所職業不詳のアナミ・シルマルド・ミラードさん(当時27)が外国人の集団に襲われ、刃物で刺されて死亡した。捜査関係者によると、県警は殺人容疑で逮捕状を取った男の国外逃亡を防ぐため国内空港などに情報を提供したが、出国記録は見つかっていない。他人名義のパスポートで出国した可能性があるという。
県警は今年8月ごろ、容疑者とみられるイラン国籍の男が、暴行死に関わった疑いでイラン当局に逮捕されていたことを把握。警察庁を通じてイラン当局に指紋の証拠送付を依頼するなどして本人確認を進めている。