熊本県天草市の知的障害者入所施設で、入所者に対する虐待行為や金銭着服があったとして、県が今月、文書で改善指導をしていたことが分かった。入所者の襟首をつかんだり、暴言を吐いたりしていたという。県は施設に、12月半ばまでに再発防止の計画書を提出するよう求めている。
県によると、施設は天草市の社会福祉法人啓明会が運営する苓山(れいざん)寮と第二苓山寮。計90人が暮らしている。今年5月、「職員が入所者から預かった金を着服している」と県に情報提供があり、6月と9月に職員や入所者に聞き取り調査をしたところ、複数の職員が入所者に「ばか」などと暴言を吐いたり、襟首をつかんで引っ張ったりした事実を確認したという。
両施設の飽田(あきた)一夫施設長(67)は取材に対し、第二苓山寮の50代の女性職員が、利用者を代行して買い物をした際に私物のサンダルや子供用のズボンを買うなど約3万円を着服していたことを認めた。すでにこの職員を解雇したという。
一方で、襟首をつかんだ行為については、入所者が周りの人にぶつかるのを避けるための対応だとして虐待を否定。暴言についても「仲がいい間柄でのやりとり」と説明し、「職員のスキルアップをし、二度と迷惑をかけることのないようにしたい」と話した。(池上桃子、大矢雅弘)