世界最大の英語辞典であるオックスフォード英語辞典は16日、2016年を象徴する「今年の単語(ワード・オブ・ザ・イヤー)」に、形容詞「post-truth」を選んだと発表した。意味は「世論形成において、客観的事実が、感情や個人的信念に訴えるものより影響力を持たない状況」としている。
同辞典によると、英国の欧州連合(EU)離脱や米大統領選を報じたり論評したりしたメディアやブログの中で多用された。使われた頻度は、昨年の20倍以上で、「ポスト・トゥルースの政治」という組み合わせでよく使われたという。
同じ意味合いで最初に使われたのは1992年だったという。ここでの「post」は、「重要で無い」という意味で、類語に「post-national」「post-racial」などがある。
同辞典のキャスパー・グラスウォル代表は、「情報源としてのソーシャルメディアの台頭と、エスタブリッシュメント(既得権層)が示す事実への不信の増大が概念の土台になっている」と分析した。
他の最終候補には「alt-right(極端に保守的または反動的な視点を持ち、既存政治を拒絶するイデオロギー上の分類)」や「Brexiteer(英国のEU離脱を支持する人)」もあった。昨年の大賞は、「emoji(絵文字)」だった。(ロンドン=渡辺志帆)