警官に付き添われて飛行機から降りる楊秀珠容疑者(右から2人目)=国営中国中央テレビの画像から
海外に逃亡した汚職高官リストの第1号として知られる中国浙江省政府の元幹部、楊秀珠容疑者(70)が16日、米国から帰国し、逮捕された。中国では習近平(シーチンピン)指導部が先月、「どこにも逃げ場はない」と反腐敗運動の強化を打ち出したばかり。国営中国中央テレビは13年ぶりの帰国を生中継し、成果をアピールした。
楊容疑者は、同省建設庁の副庁長などを務め、2億5千万元(約40億円)のわいろなどを受け取った疑いを持たれている。2003年4月に出国し、香港、シンガポール、フランス、オランダ、イタリアなどを転々として米国にたどりついた。米国で移民法に違反したとして拘束されたが、亡命を申請。今年7月、申請を撤回して自ら帰国したいと申し出ていた。
中国は15年4月、党中央規律検査委員会などが100人の汚職高官を国際指名手配。中央テレビは、その筆頭の楊容疑者が北京に着いた飛行機から下り、逮捕が執行される様子などを生中継した。これで37人が帰国したことになるという。
同委員会は「習近平同志を核心とする党中央は、腐敗分子を決して法の網から逃さない。幻想を捨て、早く自首すれば寛大に扱う」と改めて呼びかけた。楊容疑者も中央テレビに「みんな早く帰って来て。結局、私たちは中国人。家はここなんです」と話した。(北京=延与光貞)