マレーシアの格安航空会社「エアアジアX」が電動車いすの男性の搭乗を拒否したのは人権侵害にあたるとして、日本弁護士連合会(中本和洋会長)は16日、男性への謝罪や約款の改定などを求める「警告」を出したと発表した。
警告書は10日付。日弁連によると、身体障害者の男性は2014年3月、旅行のため電動車いすのサイズや重量を伝えた上で関西空港から搭乗しようとしたが、同社の係員から重量オーバーを理由に車いすの預かりを拒否されたという。男性は搭乗できず、日弁連に人権救済を申し立てていた。警告は最も重い措置だが、強制力はない。
日弁連は、電動車いすを「原則輸送できない」とする同社の約款を問題視。同社は、電動車いすのバッテリーを持ち込めないことも拒否の理由に挙げたが、男性の車いすのバッテリーは国際民間航空機関(ICAO)などが定めた輸送基準をクリアしていた。日弁連は同社の約款や対応について「電動車いす使用者の移動の自由と平等権を侵害している」と批判した。
国土交通省によると、バッテリーの種類ごとに、航空機での輸送方法を定めた基準があるという。「国内の航空会社はこの基準に従っており、一律に預かりを拒否することはない」としている。(千葉雄高)