米グーグルがインターネットの地図「グーグルマップ」のサービス向上のため、韓国政府に申請していた詳細な地図データの提供が18日、不許可になった。軍事施設の位置などがわかると安全保障に影響を与えかねないとの理由だが、韓国ではグーグルマップの道案内機能などが使えず、観光客らは引き続き不便を強いられそうだ。
グーグルマップは自動車や自転車、徒歩での道順を調べたり、立体的な3D地図を見たりできる。例えば自動車の道案内のサービスは199カ国で提供されているが、韓国では利用できない。道路や建物などをより詳しく示した地図データがないためだ。
北朝鮮と向き合う韓国政府は、詳細な地図データの海外への持ち出しは政府が許可した場合を除き、法律で原則的に禁じている。韓国ではすでにIT大手「ネイバー」などが、詳細な地図データをもとに道案内などのサービスを提供しているが、これらの地図は軍事施設などがわからないよう処理されているといい、サーバーも韓国内にあるので問題にはなっていない。
一方、グーグルはサーバーが米国など15カ所にあることから、6月に地図データの海外搬出を韓国政府に申請した。しかし、8月に開かれた関係省庁の会議では安保上の問題などから議論が紛糾し、この時点では結論が出なかった。
これに対し、グーグルは申請しているのは韓国のIT企業が使っている地図データであり、安全保障上の問題はないと反論。韓国内でも、観光客の不便を解消できることや、グーグルマップを使った新たな技術開発の可能性に期待する声もあったが、認められなかった。(ソウル=東岡徹)