砂押川を遡上(そじょう)する津波=22日午前8時50分過ぎ、宮城県多賀城市、県警提供
気象庁によると、22日午前11時までにもっとも高い津波を観測したのは宮城県の仙台港。予測では高さ1メートルだったが、午前8時3分に1・4メートルを観測した。
福島・茨城などで震度5弱 仙台で1.4メートルの津波
地震・津波の情報をタイムラインで
同庁は震源の位置や地震の規模、過去の津波に関する情報などから津波を推定し、高さに応じて大津波警報(3メートル超)、警報(3メートル以下)と注意報(0・2~1メートル)を出す。今回、宮城県は注意報だったが、午前8時9分、警報になった。
一方、震源域に近い福島県沿岸では相馬市で0・9メートル、いわき市小名浜で0・6メートルなど。津波は反射を繰り返し、後に大きくなる場合があるが、仙台港の方が高い理由について、気象庁は詳細は不明としている。
東京大地震研究所の佐竹健治教授は「港なので局地的に津波が高くなった可能性がある。湾や港などの閉じた地形や、岬の周りには津波が集まりやすく、大きくなりやすい」と話す。
同研究所の古村孝志教授は「津波は震源から同心円状に同じ強さで伝わるわけではない。方位によって伝わり方に強弱がある。地震を起こした断層の傾き方によって、特定の方向に強く伝わる可能性がある」とする。
気象庁によると、今回の震源は東日本大震災の震源よりも陸に近く、深さ25キロと比較的浅い陸側の北米プレートの中。岩盤が離れるように引っ張られて断層が上下にずれる正断層型だ。ずれ方が上下で、震源が比較的浅かったため津波が高くなったとみられる。
震災以降、M7クラスの余震は年1回程度の頻度で続いている。今回も余震の一つとみられており、高さ1メートルほどの津波は2012年以来という。気象庁の中村浩二・地震情報企画官は「震災から5年経っているが、影響は長く続くと考えられる」と話している。