大阪維新の会が描く大阪都構想の道筋
大阪市を再編して特別区にする大阪維新の会の大阪都構想の対案として、公明党が市の24行政区を6、8、10区のいずれかに合区して総合区にする案を水面下で作成したことがわかった。維新は総合区を先行導入して住民投票で特別区の賛否を問う考え。両党は総合区導入までは一致しており、まずは総合区が導入され、大幅な合区が進む可能性が高まっている。
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市は公明の意向を受けて総合区案を作成中だ。公明は独自案で合区する区の組み合わせ(区割り)も作ったが、当初予定していたこの案の公表をやめ、市の案に内容を反映させたい考え。吉村洋文市長は来年2月に1案に絞って公表する方針。公明はすでに支持母体の関西創価学会にも説明している。
都構想をめぐっては、2015年5月の住民投票で五つの特別区に再編する案が否決された。しかし維新は1年前の大阪府知事、大阪市長のダブル選で圧勝したことを受けて、都構想への再挑戦を目指している。一方、公明は市を廃止せず、区の権限を強める総合区を提唱してきた。自民も総合区を提案しているが、合区には慎重だ。
特別区導入は住民投票で過半数の賛成が必要だが、総合区導入は市議会の過半数の賛成で決められる。市議会(定数86)は維新(36人)と公明(19人)が過半数を占め、公明が府市の施設の統合議案に賛成するなど両党の関係はこの1年で接近している。維新は公明が掲げる総合区を市議会で決めたうえで、18年秋にも住民投票で特別区移行の賛否を問い、否決された場合は総合区へ移行する方針だ。特別区でも総合区でも、合区が実現すれば、1989年以来続く大阪市の24区の形が変わる。
ただし、今後の大型選挙の結果で両党の関係が変わるなど、議論がもつれる可能性は消えていない。
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〈特別区と総合区〉 大阪都構想は大阪市を廃止し、東京23区のように区長や区議を選挙で選ぶ特別区に再編する。特別区は市に準じた権限があり、独自の予算編成権を持つ。総合区は2014年改正の地方自治法で可能になった制度で、市を残したまま現在の行政区の権限を強める。区長は市議会の同意を得て市長から任命され、市に予算を提案する権限がある。総合区制度を導入した市はまだない。いずれも区ごとに独自施策がしやすくなる。