パキスタン側カシミールで23日、インドからの越境砲撃でバスが被弾し、病院に運び込まれた負傷者=AFP時事
インドとパキスタンの係争地カシミールの停戦ラインを挟んで両国軍が大規模な砲撃戦を始めた。22日にインド兵の惨殺体が見つかったのを受けてインド側は23日、大規模な越境砲撃を仕掛け、パキスタン側によると市民や兵士ら少なくとも11人が死亡。緊張が高まっている。
インド軍によると、22日に停戦ライン付近でインド兵3人が殺害され、うち1人は首などを切られた状態で見つかった。同軍は「大規模な報復を行う」(軍報道官)と宣言。23日、停戦ライン越しに複数の地点で一斉に砲撃や銃撃を始めた。
パキスタン軍などによると、この砲撃で民間人が乗ったバスが被弾するなどして、少なくとも8人が死亡。別の場所でも、インド軍との交戦でパキスタン兵3人が死亡した。反撃でインド兵7人を殺害したとしている。インド側は被害を確認していない。
カシミールでは今年7月、パキスタンからの支援が疑われる武装勢力の司令官をインド治安部隊が殺害したのをきっかけに、インド側で分離独立志向が強い住民の反政府デモが激化。軍駐屯地を狙った襲撃事件も相次ぎ、インド軍がパキスタン側に越境作戦を実施するなど、緊張が高まっていた。(ニューデリー=武石英史郎)