欧州連合(EU)の欧州議会は24日、仏ストラスブールの本会議で、トルコとの間で続く加盟交渉の一時停止をEU加盟国などに求める決議を賛成多数で可決した。トルコでの7月のクーデター未遂事件以降、国内で弾圧を強めていることを強く非難した。
決議では、トルコ政府が野党党首や政府に批判的なジャーナリストを相次いで拘束していることについて、「不適切で抑圧的な対応」であり、「トルコ憲法で保障された基本的人権や自由を侵害する」と強く非難した。
トルコのEUへの加盟交渉は2005年に始まり、トルコ国内の人権問題などを理由に事実上いったん停止していた。昨年の難民危機を受け、トルコが欧州への難民流入の抑制に協力する見返りに、加盟交渉を加速させることで合意したが、クーデター未遂後、EUが同国政府の強権的な対応を非難したことで、関係に緊張が続いている。
決議に法的拘束力はないが、トルコのユルドゥルム首相は24日、「決定は我々から見ていかなる重要性もない」と反発した。エルドアン大統領は25日、「トルコが国境検問所を開いたら、(欧州は)何というだろうか。もしこれ以上手続きを進めたら、国境検問所は開かれる」と述べ、欧州への難民流入を再開させることで対抗する姿勢を示唆した。(吉田美智子、春日芳晃)