電卓をたたく部員。(左から)本村優莉子副部長、平山美咲副部長、浜野涼香部長=長崎市栄町
電卓を使った計算が日本一速い高校生チームが、長崎県内にある。長崎女子商業高校(長崎市)の電卓部だ。9月に東京であった全国大会で232チームの頂点に立った。栄冠の裏には、体育会系の部活顔負けの猛練習があった。
タタタタタ……。電卓のキーをたたく音が教室に響く。その姿は、まさに「一心不乱」だ。
計算式の書かれた用紙をじっと見つめ、電卓を操る指先にはほとんど視線を移さない。電卓部顧問の朝隈文智教諭(61)によると、トップレベルの生徒は1秒間に7回キーをたたく計算になるという。
九州大会を勝ち抜いた同校は、9月に東京ガーデンパレス(文京区)であった「全国簿記電卓競技大会」の電卓競技の高校の部で、郡山商(福島)や豊橋商(愛知)などの強豪校を破って初優勝した。中国の電卓競技大会で優秀な成績を収めた大連商業学校も正式参加し、同大会が国際大会となって初めての年でもあった。
電卓をさばく先輩の姿に憧れて入部し、部長になった浜野涼香さん(3年)は「昨年は3位。今年はみんなで優勝しようという目標を達成できた」とうれしそうに振り返る。
大会は、かけ算、割り算、見取り算、複合算、伝票算の5種目で競う。各200点、合計1千点満点。団体戦は1チーム最大5人が参加し、成績のよい3人の合計点で順位が決まる。長崎女子商業高は、2685点を記録した。
優勝は、日々のハードなトレーニングのたまものだ。大会が近づくと、土日返上で練習を重ね、夏休みには長崎市民会館(長崎市魚の町)の一室を借り、朝9時から夜8時までの「強化練習」もした。
朝隈教諭によると、電卓は1、2カ月練習すれば誰でも手元を見ないで打てるようになるが、スピードを上げていくには日々の地道な練習が欠かせず、「電卓の世界は簡単に入れるが、根をつめないと伸びない」。
一方で、全国優勝の決め手は、…