ファーストリテイリング・柳井正社長
■ファーストリテイリング 柳井正社長に聞く
原料高や為替変動を理由に、一昨年、昨年と秋冬物の値上げにふみきった。だが客が離れ、昨年9月~今年2月の国内既存店売上高は1・9%減、客数は6・3%減だった。消費者はプライスに関して非常にシビア。心理的、経済的にお金を使えなくなっている。
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消費低迷の最大理由は「将来への不安」
今年2月から、恒例だった週末のセールを少なくする代わり、一部商品で値下げをした。店頭には「毎日お求めやすい価格に見直しました」の札をぶら下げた。値下げ以降の売れ行きは堅調で、3~8月の国内既存店売上高は前年を4・9%上回った。
日本だけではなく世界中に情報が行き渡り、「損はしたくない」という雰囲気が広がってきた。客が賢くなっている。少子高齢化で本当に売れなくなるのはこれから。できるだけ安く、エブリデー・ロープライス(毎日の低価格)でやっていくことが必要だ。当面は低価格路線を続ける。
消費不振を変えるには、最低賃金を1千円以上に上げるべきだ。今はミドル(中間層)がロアミドル(中下層)になっているのが一番問題。中間層がプア(貧困層)になるとどうしようもなくなる。日本では社会的な問題がまだ少なく、ここで歯止めをかけないといけない。
今は夫婦で働いて年収600万~800万円が当然。子ども、家政婦、幼稚園保育園の問題に税金を使わないと女性が仕事できない。子どもを産んで育てやすい環境をつくるという政策立法をしてもらいたい。(聞き手・栗林史子)