落札されたマーラーの交響曲第2番「復活」の楽譜=AFP時事
作曲家グスタフ・マーラー(1860~1911)の代表作の一つ、交響曲第2番「復活」の自筆譜が29日、ロンドンでオークションにかけられ、楽譜としては史上最高額の約455万ポンド(約6億3500万円)で落札された。落札者は公表されていない。
主催したサザビーズによると、計5楽章232ページの自筆譜には、青いクレヨンや青紫色のインク、鉛筆で本人が書き込んだ修正が鮮やかに残っている。87年に落札されたモーツァルトの交響曲9曲分の約250万ポンドがこれまでの最高額だったが、大幅に上回った。
自筆譜は、今年1月に亡くなった米実業家ギルバート・キャプラン氏が所有していたもの。同氏は「復活」に心酔し、実業家として成功してから同曲の指揮法を学んだ。同曲のみを指揮する指揮者としても知られ、世界中の著名なオーケストラと100回以上演奏したほか、ロンドン交響楽団やウィーンフィルとの録音も残している。
「復活」は19世紀の交響曲の最高傑作の一つといわれる。管弦楽に合唱、ソプラノとアルトの独唱が加わり、演奏時間が約90分に及ぶ大曲。1895年にベルリンで初演された。(ロンドン=石合力)