法定時間を超えて留学生を働かせたとして、大阪府警は6日にも、とんこつラーメンチェーン「一蘭(いちらん)」(本社・福岡市)の吉冨学社長(53)や労務担当の幹部ら計7人と、法人としての同社を出入国管理法違反(不法就労助長)の疑いで書類送検する方針を固めた。吉冨社長については雇用対策法違反(外国人雇用の無届け)の疑いでも書類送検する。捜査関係者への取材でわかった。
吉冨社長はこれまでの府警の調べに「(不法就労について)把握していなかったが、私の責任。外国人雇用の届け出は忘れていた」と説明しているという。
捜査関係者によると、吉冨社長らは昨年9~11月、大阪市中央区の「一蘭 道頓堀店本館」など2店で雇っていたベトナムや中国からの留学生計10人を、出入国管理法が定める週28時間を超えて働かせた疑いがある。また吉冨社長は、この10人を含む留学生12人をアルバイトとして雇ったにもかかわらず、名前や在留期間などをハローワークに届け出なかった疑いがある。
府警はこれまでに同法違反(不法就労)の疑いで留学生らを書類送検した。同社では、留学生が週28時間を超えて働くと労務担当の幹部がメールで警告を出すシステムになっていたが、時間を超えてもそのまま働かせていたとみられる。ベトナム人留学生らの間では「長時間働ける」と口コミで広がっていたという。
ウェブサイトによると、一蘭は1993年に設立され、昨年12月時点で国内外に74店舗を展開している。仕切りで隔てたカウンター席が特徴。(多鹿ちなみ)