東京大本郷キャンパス(東京都文京区)の総合図書館が来年度1年間、事実上の閉館となり、学内で反対の声が上がっている。約126万冊の蔵書を有する「知の殿堂」だけに、利用する学生らには勉強や研究に支障が出ることへの懸念が強く、1日には「反対の会」が記者会見した。
東大によると、総合図書館は計38カ所ある付属図書館のうち最大で、1100席の閲覧・学習スペースがある。2014年度からは耐震改修工事が始まり、もともとは段階的な工事の予定だったが、来年度は本館全域の工事に変更した。このため、東大は図書や雑誌を他キャンパスに移し、できる範囲で貸し出しは続け、閲覧・学習スペースを学内に確保するとした。
これに対し、同大の学生ら約10人が「東京大学総合図書館の閉館に反対する学生の会」を結成。「書籍や資料にアクセスできなくなり、研究が妨げられる」「勉強や研究の場が失われる」などと主張。当初の計画だった段階的な工事への変更などを求めている。
同会がインターネット上で始めた反対署名は1日現在、約1800人以上に上っており、1日に記者会見した代表の教養学部3年楊椋(ヤンリョウ)さん(22)は「学生や教員の意見が反映されない状態で、実質的な図書館の閉館が決定されたことは非常に残念だ」と述べた。