「僕1人では『前に進もう、野球界で勝負しよう』とは正直ならなかった」。左アキレス腱(けん)断裂直後の思いを振り返った阪神の西岡
■スコアの余白
ダウン提示されたが、その金額も見ず、契約書に押印したという。7月に左アキレス腱(けん)を断裂し、今季の残り試合を棒に振った阪神の西岡。契約更改後の記者会見で「契約していただいた、という言葉の方が正しい」としみじみ語った。
特集:スコアの余白
7月20日の巨人戦(甲子園)。安打を放ち、一塁ベース付近で倒れ込んだ。自分で起き上がれず「ああ、終わった」。この時点では手術も「もう、いいか」と諦めた。今後の方向性について、明るい見通しはなかった。
背中を押したのは、球団からの「どうにか野球ができるように、心を向けろ」。さらにファンからの「戻ってきてほしい」という数々の言葉だったという。同月26日にアキレス腱を縫合する手術を受けた。車いす生活も経験した。
けがから約3カ月間は、何もできなかった。自分で歩き、日常生活を送れるようになったのも最近のこと。先週は久しぶりにバットを振り「すぐに(手に)マメができる。そういうところからのスタートなんだと実感した」。復帰のめどは立っていない。ただ、けがの直後に弱音を吐いた自分に別れを告げ、復帰をめざすことだけは決めた。
振り返れば阪神での4年間、故障ばかりだった。2年前は福留とぶつかって肋骨(ろっこつ)などを骨折、昨年は右ひじ靱帯(じんたい)の損傷、そして今回……。「今後どんなけがをしても、戦う姿を見せたい。明るい顔で現れる日を待っていてほしい」(井上翔太)