真剣に稽古する“ジュリエット”たち=さいたま市桜区、川村直子撮影
5月に亡くなった演出家の蜷川幸雄さんが総合演出する予定だった、60歳以上の公募出演者による1日限りの大群集劇「1万人のゴールド・シアター2016」が7日、さいたま市内で上演される。病と闘う夫婦、青春を取り戻したい91歳。蜷川さんの遺志を胸に、約400人の“ロミオ”と、約1200人の“ジュリエット”の夢が開く。
同市内の体育館では11月下旬、稽古が佳境を迎えていた。約2600平方メートルの稽古場に広がった出演者が、自分の夢を語る冒頭場面。「パラリンピックの集団演技に出たい」「宇宙旅行をしたい」。笑顔と拍手がはじけた。
「1万人」は、蜷川さんが生前に芸術監督を務めた「彩の国さいたま芸術劇場」(さいたま市)で、高齢者劇団「さいたまゴールド・シアター」を10年間率いてきた経験から、さらに多くの高齢者が輝ける場をと立ち上げた企画。東京五輪開催の2020年に1万人規模の舞台を目指す。今回は九州、東北、遠くは米国の60歳から91歳までの約1600人が集まった。
高齢者施設の老人たちが、いつの間にかシェークスピアの悲劇「ロミオとジュリエット」が描く10代の少年少女となり、恋に突き進む。脚本「金色交響曲~わたしのゆめ、きみのゆめ~」は、蜷川さんから演出を引き継ぐノゾエ征爾さん(41)の書き下ろしだ。
出演者最高齢の一人、さいたま…