シャープは国内工場の再編に取り組んでいる
シャープの国内工場の再編が動き始めた。コスト管理に厳しい親会社の鴻海(ホンハイ)精密工業(台湾)は、これまでシャープが重視してきた工場にしがらみはなく、不振の電子部品や製品工場の縮小や閉鎖に着手する。一方で主力の液晶事業は強化し、選択と集中を急ぐ。
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シャープは経営危機に陥った2012年以降、希望退職を2回募り、計6千人以上の人員を減らした。小さな生産子会社の売却などはあったものの、主力工場の閉鎖や集約には踏み込めていなかった。
だが、8月にコストを徹底的に切り詰める経営で知られる鴻海が親会社になった。シャープも例外でなく、物流部門などを鴻海グループに統合する合理化を進めたほか、中国などにある鴻海グループの工場で製品を安くつくり始めている。その分、コストがかさみがちな国内の生産態勢を順次、見直す方針だ。
シャープが1960年代から進出した重要拠点の広島工場(広島県東広島市)は、その一つだ。スマートフォンなどをつくっているが、3棟ある工場のうち1棟を閉め、ほかの2棟に集約する。スマホに加え、今年発売したロボット型携帯電話「ロボホン」なども生産。9月末時点で1120人が働くが、集約に伴う人員削減はしないという。
さらに、LED(発光ダイオード)や半導体レーザーなどの電子部品をつくる三原工場(広島県三原市)も17年度中に閉鎖する方向だ。電子部品の生産は、カメラ部品などを手がける福山工場(広島県福山市)に集約する。11月の決算会見で戴正呉(たいせいご)社長が閉鎖の検討を認めていたが、閉鎖時期は示していなかった。