人里離れた山間部の峡谷にあるビットコインの「採掘工場」(中央奥の建物)=10月、中国・四川省甘孜(カンゼ)チベット族自治州、織田一撮影
仮想通貨ビットコインの人気が再燃している。その中核の技術を活用する動きも急速に広まっている。円やドルとは違う「新通貨」を巡り、世界で何が起こっているのか。
ユーラシア大陸中央部のチベット高原。数千メートル級の山が連なる荒涼とした峡谷に、体育館のような建物5棟がある。薄暗い棟内では計約9千台のコンピューターがうなりをあげていた。
中国・四川省甘孜(カンゼ)チベット族自治州の州都、康定(ダルツェンド)中心部から車で約2時間30分の場所にある、ネット仮想通貨ビットコインの「採掘工場」だ。
インターネット上でのビットコインの取引は、例えば、AからBへのコインの送金を、ネット参加者が認証することで成り立つ。最も速く認証した者には、ゲームをクリアした報酬のアイテムのようにコインが与えられる。
参加者はコインを得るため認証の速度を競う。この建物のような、1秒間に5兆回も計算できる専用コンピューターを並べた「工場」も現れた。まるで金の「採掘」のようだ。
運営する「ハオBTC」(北京…