撤廃・見直しを求めたホテル・旅館業の規制
政府の規制改革推進会議(議長・大田弘子政策研究大学院大教授)は6日、旅館業の規制緩和を求める提言を発表した。ホテルと旅館の客室数や寝具などの基準を撤廃し、外国人旅行者の増加などに対応できる多様なサービスの実現を求めている。
1948年に制定された旅館業法は、ホテルを「洋式の構造及び設備を主とする施設」、旅館を「和式を主とする施設」と定め、施行令などで設備の基準などを細かく決めている。最低客室数はホテルが10室、旅館が5室。和室の寝具は和式(布団)とされ、ベッドは置けない。共同トイレは、定員に応じた便器が必要で、大便器と小便器をほぼ同数と定めている。洗面所は「せっけんを置く設備が望ましい」とされ、ホテル業界からは「せっけん台は不要。ハンドソープの設置で代用できる」といった意見が寄せられていた。
こうした規制は公衆衛生の観点から設けられたが、推進会議だけでなく厚生労働省も実態にあわないものが増えているとみている。
厚労省はホテルと旅館の区別をなくす旅館業法改正案を来年の通常国会に出す方向で準備を進めており、今回の提言などをふまえて年内に具体的な見直し内容をまとめる。
推進会議は9月に発足。大胆な農協改革を唱えたが、自民党農林族などの反発で、提言の大幅修正を迫られた。今回は厚労省と歩調をあわせて提言の実現を図る。(南日慶子、黒田壮吉)