九州電力は8日夜、定期検査のため停止中だった川内原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)の原子炉を起動し、運転を再開した。来年1月上旬に営業運転に移る予定だ。対応が注目された鹿児島県の三反園訓(みたぞのさとし)知事は、この日も運転再開に絡む発言を避け、起動を事実上容認した。
特集:川内原発
午後9時半、核分裂反応を抑える制御棒を抜く作業が始まり、原子炉が起動した。川内1号機は10月6日から原子炉等規制法にもとづく定期検査に入っていた。東日本大震災後の新規制基準のもとで、定期検査に入った原発が運転を再開するのは初めて。川内原発前ではこの日、運転再開に反対する市民らが「川内原発動かすな」などのプラカードを掲げて抗議した。
一方、九電に対し川内原発の即時停止を2度にわたって要請したものの、その後、「私に稼働させるさせないの権限はない」と繰り返し、運転再開を事実上容認する姿勢を示した三反園知事。この日は報道陣の取材に応じたものの、運転再開には直接触れず「稼働してもしなくても原発は残る」と話した。今後は、県独自の第三者機関の設置を急ぎ、川内原発の安全性を検証してもらうとした。知事の要請を受け九電が実施している「特別点検」は今月11日に終わる見通し。現時点で「熊本地震の影響はない」(九電幹部)。早ければ年内に知事に結果を報告する。
川内原発では2号機が16日から定期検査に入る予定だ。(柴田秀並、中島健)