ランサムウェアに感染した携帯端末の画面。ホラー映画のキャラクターと脅迫メッセージが表示される=トレンドマイクロ提供
サイバー犯罪を撲滅せよ――。情報工学の教育を受けた専門捜査員らを集めた福岡県警の特殊部隊「サイバーセキュリティスペシャルチーム(通称F―CST〈エフシスト〉)」が今年、始動した。ネット空間と現実世界を行き来する捜査を手がけ、成果も出始めている。
福岡市にある県警サイバー犯罪対策課の一室。F―CSTは、ある女性がネット上でなりすましの被害を受けた事件を追っていた。4月のことだ。
ネットには女性の実名をかたり、勤務先への中傷や「私は暴力団とつながりがある」などの書き込みがされた。書き込みは「テロを起こす」とエスカレート。3月にできたばかりのF―CSTに捜査が任された。
捜査員らは数百に及ぶ掲示板を検索し、ネット上を「聞き込み」。すると、別の男女になりすました同様の書き込みが次々と見つかった。被害者は計8人。いずれも大学の同級生だった。「被害者との接点が見えてきた」。現実世界へ捜査がたどり着いた。
ここからは通常の捜査と同じだ。捜査員は被害者に犯人の心当たりを聞いた。8人からは、3人の名前が挙がった。